彼氏売買所
☆☆☆

「俺、本当に彼女作ったことなくて」


4人で街を歩いている時、晴が言った言葉だった。


「冗談だろ?」


真由の彼氏が笑って言う。


すると晴はムキになって「本当だってば! ずっと愛の事が好きで、愛に釣り合うようになりたいと思って、頑張ってたんだ」と、早口で言った。


それが本当かどうかわからないけれど、あたしに似ているのかもしれないと感じた。


あたしはまだ好きな人がいなくて、その人のために努力したことはない。


けれど、本当に好きだと思える人じゃないと付き合いたくないと言う気持ちは、きっと晴と同じものなんだろう。


「でも、小林君ならモテるでしょ?」


真由にそう聞かれて、晴は照れたように頭をかいた。
< 98 / 281 >

この作品をシェア

pagetop