惚れ薬
☆☆☆

欲しい物がいくらでも手に入る。


その事実にあたしたちは次々とお店を見て回った。


16万円なんて大金今まで手にしたことがない。


たった数千円の服でも我慢していたのがバカみたいだ。


世の中には宏樹みたいな子供だっているということを、身に染みて感じた。


「ちょっと買い過ぎちゃったね」


買い物を終えて店から出てきた時には、両手に沢山の紙袋を持つことになってしまった。


「これを持って帰るなんてちょっと面倒だよね。タクシーにしようか」


真弥がそう言い、あたしは頷いた。


普段タクシーなんて全く使わないけれど、今はそんなこと気にしなくていいのだ。
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