惚れ薬
☆☆☆

あたしは自分の席に戻り、笑いをかみ殺した。


「最高だね」


真弥がそう呟く。


普段大きな顔をしているサキが、初美にはなにも言い返せなかったのだ。


そう光景を思い出すと愉快でたまらない。


「真弥も誰かに飲ませる?」


あたしはそう聞いた。


小瓶の中の液体はまだまだ沢山ある。


「あたしは特にいないかなぁ」


宏樹からお金を貰えるし、うるさいサキを黙らせることもできた。


もう十分快適になったと言えるだろう。


「好きな人ができたら、その時は教えてよ? 貸してあげるから」


あたしはそう言って小瓶を見せた。
< 120 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop