惚れ薬
「サキは人に頼まれてジュースを買いに行くような子じゃない」


まるでサキを庇うような言葉に、ハッとして目を見開いた。


まさか航はサキのことが好きなんじゃないか。


そう思ったのだ。


「もしかして、航ってサキのことが好きなの?」


初美がそう聞くと、航は口ごもりうつむいてしまった。


けれど耳まで真っ赤に染まっている。


なんてわかりやすい図星なんだろう。


胸の奥がグズグズと痛み始める。


「なんでサキ?」


あたしは思わずそう聞いていた。


どう考えても航とサキじゃ不釣り合いだ。


サキみたいな傲慢な子のどこがいいのかわからない。
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