惚れ薬
そう思ってお茶をひと口飲んだとき、遼太郎が近づいて来た。


「なに?」


そう聞くと、遼太郎は赤い顔をして「これ、よかったら」と、あたしに封筒を差し出して来たのだ。


「なにこれ」


そう聞きながら封筒を受け取り、中身を確認する。


そこに入っていたのは一万円札の束だった。


あたしは驚いて遼太郎を見た。


「なんで?」


「そろそろ必要じゃないかと思って、宏樹から貰った」


モジモジと手遊びをしながらそう言う遼太郎。
< 144 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop