惚れ薬
「バイト……?」


「そう」


初美にスッと近づいて、その耳元に顔を近づける。


「おっさんにパンツを売るんだよ」


あたしの言葉に初美がビクリと震えた。


「あたしが……?」


「当たり前じゃん」


あたしはそう言い、初美の手を握りしめて歩き出した。


「駅前に立ってればそれっぽいおっさんが勝手に声かけてくるから」


「でも……!」


「なに? 文句あるの?」


振り返ってそう言うと、初美は青ざめた顔で「いいえ……」と、答えたのだった。
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