惚れ薬
できれば初美がパンツを売っている姿を撮影しておきたかったけれど、相手の男に怪しまれるかもしれないから出て行くことができず、それはできなかった。


「売春なら、もっと稼げるよ」


真弥がパンケーキを食べきってそう言った。


「そうだね。それなら1時間で3万円はいける」


「3万は安いでしょ。初美はまだ未経験なんだから」


真弥がそう言うと、初美は食べる手を止めてあたしを見て来た。


なにか懇願しているようにも見えて、おもしろい。


「そっか。未経験なら価値が上がるんだっけ?」


「あたしは……」


初美は慌てて何かを言いかけたけれど、あたしが人睨みすると黙り込んでしまった。


まぁ、売春までさせる気はないけどね。


こうして怯えている初美を見ているとおもしろい。
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