惚れ薬
休憩時間にはずっとゲームをしているし、オタク系の会話ばかりしていて話も合わない。


それなのに、どうしてだか遼太郎はあたしのことが好きらしかった。


人から聞いた噂話だから本当がどうかはわからないけど……。


あたしは笑顔を張り付けて遼太郎を見た。


「なに? あたしになにか用事?」


普通に質問しているだけなのに、思わず声色が険しくなってしまう。


できれば近づいてほしくないから、表に出てきてしまうのだ。


「今、1人だよね?」


遼太郎はキョロキョロと周囲を見回してからそう言った。


「見てのとおりね。でも今からお昼ご飯だから、用事があるなら早くしてくれない?」


こんな所で足止めをくらっていたら、休憩時間がなくなってしまう。


外はとても心地いいのに、あたしの気持ちはここ最近で一番最悪だった。
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