惚れ薬
この日も夢を見ていた。


航の夢。


けれど、今日の航はどこかよそよそしかった。


夢が始まってすぐの時に繋がれていた手は、夢が進むにつれて離されてしまった。


話しかけてもそっけない返事しか来ない。


冷たい態度はリアルな航そのものだった。


やがてあたしと航との間には距離が生まれて来る。


あたしはいくら追いつこうとしても、航との距離は縮まない。


手を伸ばしても、届かない。


「航!」
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