惚れ薬
どれだけ大きな声を上げても、航は振り向かずにどんどん前へと進んで行く。


あたしは途中躓いてこけて、そこから立ち上がることができなくなってしまった。


擦りむいた膝がリアルに痛む。


「航!!」


叫び声を上げて、飛び起きた。


呼吸が荒く、全身に汗をかいている。


あたしから遠ざかっていく航の夢はやけにリアルで、起きた後もしばらく航の後ろ姿を忘れる事ができなかったのだった。
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