惚れ薬
☆☆☆

翌日、あたしはベッドの上でジッとスマホを見つめていた。


昨日サキに電話をかけているのに、折り返しの電話がないのだ。


かかってくるとばかり思っていたから、無視されていることに苛立ちを覚えていた。


「なんだって言うの……」


そう呟き、スマホを鞄の中へ投げ込んだ。


昨日からなんだか少しおかしい。


門限なんてなくなっていたのに、昨日は家に入れてもらうことができなかった。


あのあと1時間くらいしてようやく鍵を開けてもらえたけれど、晩ご飯はとっく

に食べられ、あたしの分は残っていなかった。


揚句、大量の買い物を怪しまれて買ったものすべてを取り上げられてしまったのだ。


まるで薬を飲ませる前の両親に逆戻りした感じだ。
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