惚れ薬
乱暴に部屋のドアを閉めてそのまま玄関へと向かう。


むしゃくしゃしているから両親には顔を見せずにそのまま玄関を出た。


家の中からあたしを呼ぶ声が聞こえて来たけれど、それも無視した。


最寄りのコンビニによっておにぎりとお茶を購入し、狭いイートインスペースで朝ご飯にした。


今日はお弁当も持って出なかったから、ついでに昼ご飯も買う。


宏樹から貰ったお金があるから、これくらいの出費どうってことなかった。


コンビニの袋がサガサガサと音を立てて耳障りだ。


学校に到着して教室へ足を進めると、サキが登校して来ているのが見えた。


あたしは自分の席に荷物を乱暴に置き、大股にサキに近づいて行った。


「昨日電話したのに、どうして出ないの?」


そう聞くとサキはけげんそうな表情をあたしへ向けた。
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