惚れ薬
「見た目とかじゃないよ。好きな人に振り向いてもらえないところ」


初美の言葉にあたしはチラリと航を見た。


窓際の席で菓子パンをかじっている。


あたしがどれだけ航の事を見つめていても、航の視線があたしとぶつかる事はない。


そう思うと、また胸がギュッと痛んだ。


「……仕方ないじゃん。両想いになれる確率なんて、少ないでしょ」


あたしはうつむいてそう言った。


「落ち込ませるつもりで言ったんじゃないの、ごめんね」


初美の言葉にあたしは左右に首を振った。


好きな人からは好かれなくて、嫌いな人からは好かれる。


どうしてこんなにうまく行かないんだろう。


そう思い、また大きなため息を吐き出したのだった。
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