惚れ薬
そう思い、落ち着かない気持ちで初美が登校してくるのを待った。


「初美! あの薬を返して!」


初美が教室へ入って来ると同時にあたしはそう声をかけた。


初美は驚いた表情を浮かべ、それから「なんで?」と、首を傾げて聞いて来た。


「必要だからに決まってんじゃん! 早く返して!」


右手を出してそう怒鳴る。


「嫌」


初美はそう答え、ニヤリと口角を上げて笑った。


「ちょっとどうしたの?」


丁度教室へ入って来た真弥が、あたしのただならぬ雰囲気を感じて駆け寄って来た。


「青花がいきなり薬を返してって言ってきたから、断っただけ」


初美はそう言い、自分の席に座った。
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