惚れ薬
☆☆☆

休憩時間、あたしはすぐに席を立った。


次の3時間目は移動教室だ。


授業に使うノートと教科書を持ち、早足に教室を出る。


先に道具を移動しておいて一旦教室へ戻るのだ。


その頃には教室内に生徒の姿は少なくなっているだろうから、初美と真弥に手伝ってもらって薬を混入させるつもりだった。


1時間目の授業が終わった頃航がお茶を飲んでいるのを確認しているし、完璧だった。


もうすぐあたしと航は両想いになれるのだ。


そう思うと自然を顔が緩んできた。


1年生の頃からずっと好きだった。


告白したくてもできなくて、距離を縮めたくても難しくて。


最終的には占いにまで頼ったりして。


そんな毎日が今日で終わるのだ。
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