監禁少女
叫びたいのに、気道は完全にふさがれている。


涙と鼻水が自然と流れ出して来た。


このままじゃ、死ぬ……!


あたしは握りしめていたナイフを美世の手に突き刺した。


親指の付け根を切り裂いたようで、不意に美世の力が抜けた。


そのまま落下するあたしの体。


美世の親指が床に転がった。


激しくせき込み、空気を吸い込む。


でも、のんびりしている時間はなかった。


美世はあたしへ向けて牙をむく。


「あああああああああ!!」


あたしは雄たけびを上げながら、その口めがけてナイフを突き出した。
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