監禁少女
美世の顔が、体が、元通りの姿へと変化していく。


「美世……」


あたしは美世の体の上に乗ったまま茫然として動けなかった。


手に握られたナイフだけがやけにリアルで、慌てて手を離した。


「美世……なんで……」


ボロボロになった美世の頬に触れると、ヌルリとした血の感触がした。


あたしが、殺した。


美世は生きていたのに、あたしが殺した。


さっきまで美世を殺す事に必死だったのに、途端に怖くなった。


「ああ……、だって……だって、殺さなきゃ……」


そう呟きながら、美世から離れた。


だって。


だって。


だって。
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