監禁少女
牛乳をこれほど美味しいと感じたことはなかった。


それから顔を近づけてパンにかぶりついた。


手は使えないから、まるで犬のように食べるしかできない。


屈辱的な気分だったけれど体力の消耗は避けたかった。


タイミングがあれば絶対にこの部屋から脱出してやるんだ。


その思いだけで、用意された物をすべて食べきった。


無駄に餓死なんてしない。


これから先どれだけ苦しんでも、自分から死ぬようなことは絶対にしない。


あたしは壁にもたれかかるようにして座った。


食べたことで少し落ち着けた気がする。


あらためてグルリと部屋の中を見回してみた。


6畳ほどの空間。


テーブルと裸電球以外になにもない。


ドアは2つ。
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