ジンクス
ここからまだ教室まで行くのかと思うと、気が重い。


「ナツミ?」


健の声が聞こえてきてあたしは振り向いた。


「どうした? 顔が真っ青だぞ?」


いつものように鞄を持つのではなく、健は真剣な表情でそう聞いて来た。


あぁ。


朝の内にあれだけ出血していれば、顔色も悪くなっていると思う。


けれどあたしはニッコリとほほ笑んだ。


「大丈夫だよ」


そう答えたけれど、その声に力が入っていない事に自分でも気が付いた。
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