ジンクス
そう言った時、杏はあたしに手を伸ばして来た。


貧血のあたしはすぐに動く事ができなかった。


杏の手があたしの制服を掴む。


「なにすんの!」


そう文句を言うだけで精いっぱいだった。


次の瞬間、タオルを巻いた腹部が杏の前にさらされていた。


タオルには、また血が滲んできている。


杏がサッと青ざめる。


「ちょっとケガしただけ」


そう言うのに、杏は大きく息を吸い込んでタオルを外してしまったのだ。
< 225 / 252 >

この作品をシェア

pagetop