ジンクス
「じゃ、卵焼きもーらい!」


健はそう言い、指先で卵焼きをつまんで口へと放り込んだ。


甘く味付けしている玉子焼きだ。


玉子焼きは簡単そうに見えるけれど、それぞれの家の味がある。


健の好みが甘い玉子焼きじゃなかったらどうしようと、内心ドキドキした。


「うん。すっげーうまい!」


健の言葉にあたしは自然と頬が緩んでいた。


「あ、甘い玉子焼きで、大丈夫?」


「大丈夫だよ。って、え?」


思わず質問してしまってから、健が瞬きを繰り返した。
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