ジンクス
あたしは弱く頷く。


もう、声を出す元気も残っていなかった。


健はニッコリと笑い「ナツミ大好き」と言うと、あたしの目玉にフォークを突き刺した。


引き抜くとき、ズルリとなにかの組織が引きずり出され、その瞬間あたしの方目は見えなくなった。


健が目玉を口に入れて、コロコロと転がしているのがわかった。


「おいしい。おいしいよナツミ」


コロコロ、クチャクチャ。


遠のいていく意識の中、最後まで聞こえてきていたのは彼の粗食音だった……。
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