ジンクス
そう思うと、急に焦りはじめてしまったのだ。


このまま気持ちを封印してしまうなんて嫌だ。


最後の1年の間に思いを伝えたいと思っていた。


「ナツミの好きな人って同じクラスの健だよね?」


杏が当たり前のようにあたしの好きな人を言い当ててしまった。


焦っている暇もなく「健って人気者だからなぁ」と、花梨が呟いた。


「ちょ、ちょっと待って! なんで健の名前が出て来るの!?」


「え? だってそんなの」


「わかるじゃん」


杏の言葉を引き継ぐように花梨が言う。
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