ジンクス
☆☆☆

「部活があるのに、ごめんね」


なんとか靴を履き替えて、あたしは健へそう言った。


「いいって、このくらい。迎えが来るんだろ?」


「うん。今日はお母さんが休みだから、さっき連絡した」


「それならよかった」


そう言ってほほ笑む健。


本当に、心から安堵しているように見える。


「ねぇ、健。どうしてあたしに優しくするの?」


あたしは自分の足元へと視線を落としてそう聞いた。


周囲に他の生徒の姿はない。
< 96 / 252 >

この作品をシェア

pagetop