ジンクス
「そう……なるよな。でもさ、女の子に対してこんな気持になったのは初めてだから、俺もよくわからなくて」


そう言いながら頭をかく健。


今度は自分の耳がおかしくなったのかと思った。


健が、あたしのことを本当に好きになっているのだ。


「本当に……あたしのことが好き?」


そう訊ねる声が震えてしまった。


緊張と、胸の高鳴りと、期待で。


「何度も言わせるなって。じゃ、俺は部活に行くから」


健はそう言い、あたしから逃げるようにグラウンドへと向かったのだった。
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