あしたの星を待っている
06.隠された本音と、熱
小さい時の夢は、瑠偉くんのお嫁さんだった。
2人なら怖いものなど何もなかった。
当たり前のように、ずっと傍にいるものだと思っていた。
未来は希望に満ちているはずだった。
「改めて自己紹介するよ。月刊スタークスの山岡です」
「夕里 花菜です」
「俺が言うのも何だけど、よくお母さんが許してくれたね」
「母には内緒できました」
瑠偉くんが取り付けてくれた約束どおり、彼のバイト先のカフェで雑誌記者の山岡さんと会った。
四角いテーブルを挟んで、向こう側に山岡さん、こちら側に私と瑠偉くんで座る。
名刺を紛失したことを素直に告げると、山岡さんは快くもう1枚差し出してくれた。
彼の業界では、名刺を捨てられることなんてよくあることらしい。
「さっそく2年前の事件について聞きたいところなんだけど、もう1人の子は?」
「少し遅れるそうです」
そう瑠偉くんが答えた。
もう1人の子って……?
「じゃぁ、先に夕里さんに聞かせて貰おうかな」
「はい」
「事件について、何か覚えているものは?」
「あの、私はずっと事故だと聞かされていて、その……怪我をした時の記憶はまだ戻ってないんです。でも、複数の男性に追いかけられたことは思い出しました」
「なるほど。その男たちに見覚えは?」
「ないです。若くて、多分、私とそう変わらない年齢だったと思います。何人かは金髪で、派手なグループだったとしか」
「じゃぁ、ごく普通の若者というよりは、不良っぽいグループだったと?」
「はい」