あしたの星を待っている


そうだったんだ。

今まで知らされてこなかったことが知れて、ズキズキと胸をえぐられるような痛みがするけど、パズルのピースがはまっていくようなスッキリ感もある。

あの時、命を削る代わりに折れてくれた足をそっとさすった。


「それでだ、話を戻すけど。夕里さんの事件から1年後。去年の話なんだが、また同様の事件が起こった。そして今年もまた同じような事件が続いている。犯人はいずれも不良っぽい少年グループだ」

「そっちは捕まってないんですよね? 少年グループって言いましたけど、主犯を除いた他の人たちってことは?」

「警察も初めはそれを疑って調べたみたいだけど、いずれもアリバイがあったようでね、夕里さんの事件とは別物だと判断したらしい」


でも、山岡さんは同じだと思っている。

というか、今回と去年に起きた事件の犯人が、2年前に私を襲った人だと思っているってことだよね。

示談にして、今現在引きこもりになっている人ではなくて、ということだね。


「山岡さんには同一犯だと思う何か根拠があるんですか?」

「うん、そうだね」

「それは何ですか」

「すまない。守秘義務があるから、言えない」


そんなぁ。

聞きたいことだけ聞いて、こちらの質問に答えてくれないなんてずるい。

そりゃ、私なんて何にも覚えてなくて、大した情報源にならなかったかもしれないけど……。





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