あしたの星を待っている
冗談めいた非難があちらこちらから飛び、そのうちどっとした笑い声が教室の中に広がった。
うちのクラスは割と仲が良い。
高2にしてはやや幼い印象もあるけれど、こういった場面でやたらと団結力を発揮するみんなが好き。居心地がいい。
このクラスになれてよかったなぁーなんて思っていたところ、「ねぇねぇ、花菜ちゃん」と後ろから話しかけられた。
振り向くと、ボブヘアが良く似合う女の子がニコッと笑った。
彼女の名前は真紀子(まきこ)ちゃん。
時々、一緒にお弁当を食べる子だ。
「葉山先輩と付き合ってるって本当?」
「えっと、うん……まぁ」
「わあ、やっぱりそうなんだ! 今朝、一緒に登校したんでしょ? 手を繋いで仲良さげに歩いてたって、結構、噂になってるよ」
手はまだ繋いでないけど。
でもやっぱり先輩は人気者なんだなぁ、噂が回るのが早い。
「いいなぁ。あんなにカッコ良くて、頭も良くて。しかも、この辺りじゃ有名な地主の息子なんでしょ」
「そうなの?」
「え、花菜ちゃん知らなかったのー」
「うん」
「はぁ。そういう無欲な子が良かったのかな。ね、どっちから告ったの?」
気が付くと数人の女の子に囲まれていた。
女子はこの手の話が好きだよなぁ。答えなくてもいいのに七海が「先輩からだよ」と言ったものだから、彼女たちのボルテージがあがる。
勘弁してほしいと思っていると、
「話してるとこ悪いけど」
つっけんどんな声が頭上から降ってきた。