あしたの星を待っている
それで黒沢さんはこの前、先輩に遊ばれてるんじゃないか、って私に聞いたんだ。
友達のお兄ちゃんの友達、か。
なるほど、それで転校直後から先輩を知っていたのも納得だ。
「驚かないの?」
「うん……驚くっていうか、やっぱりって感じかな。時々、そんな風に思うことがあったから。すごく良い人なんだけどね」
合宿のとき、瀬戸高の1年との話を聞いてしまったし。
だけど、今は改心していると思いたい。
「良い人? 本当に?」
「たまに戸惑う時はあるの。重いというか、支配されているような気がして怖いなって。でも、基本的に優しいし、悪い時はちゃんと謝ってくれる」
「そっか。この前、ごめんね。嫌な言い方して」
「ううん」
ずずっと、ストローでりんごジュースを吸い上げる。
黒沢さんとこんな風に話ができる日が来るとは思わなかったなぁ。ちょっと、いや、かなり苦手だったし。
でも、不思議。
七海にさえ打ち明けられなかったことを、話しちゃってるんだもの。
「あの、黒沢さん。黒沢さんが西高に転校してきた理由って、葉山先輩だったりする?」
「矢吹くんの言った通りね」
「え?」
「花菜は、ぼんやりしてるように見えて勘が鋭いって。あと、芯が強くて1度信じた人間はどこまでも信じる奴だって」