あしたの星を待っている


それで黒沢さんはこの前、先輩に遊ばれてるんじゃないか、って私に聞いたんだ。

友達のお兄ちゃんの友達、か。

なるほど、それで転校直後から先輩を知っていたのも納得だ。


「驚かないの?」

「うん……驚くっていうか、やっぱりって感じかな。時々、そんな風に思うことがあったから。すごく良い人なんだけどね」


合宿のとき、瀬戸高の1年との話を聞いてしまったし。

だけど、今は改心していると思いたい。


「良い人? 本当に?」

「たまに戸惑う時はあるの。重いというか、支配されているような気がして怖いなって。でも、基本的に優しいし、悪い時はちゃんと謝ってくれる」

「そっか。この前、ごめんね。嫌な言い方して」

「ううん」


ずずっと、ストローでりんごジュースを吸い上げる。

黒沢さんとこんな風に話ができる日が来るとは思わなかったなぁ。ちょっと、いや、かなり苦手だったし。

でも、不思議。

七海にさえ打ち明けられなかったことを、話しちゃってるんだもの。


「あの、黒沢さん。黒沢さんが西高に転校してきた理由って、葉山先輩だったりする?」

「矢吹くんの言った通りね」

「え?」

「花菜は、ぼんやりしてるように見えて勘が鋭いって。あと、芯が強くて1度信じた人間はどこまでも信じる奴だって」

< 111 / 171 >

この作品をシェア

pagetop