あしたの星を待っている


瑠偉くん、そんなことを言っていたんだ。

人から聞かされると、なんだか気恥ずかしい。そんな心境もまた顔に出てしまうのでは、と懸念した私はさっきした質問の答えを急かした。


「それで、どうなの?」

「うん。そうだよ、葉山先輩に会いに来たの。会って、どんな人が確かめようと思って」

「会って、どう思った?」

「事件に関わっている可能性は高いと思う。だから、もう少し突っ込んで調べたいんだけど、私だと怪しまれるから、夕里さんお願いできないかな」

「え? 私?」

「彼女なら警戒しないでしょ?」

「そうかもしれないけど、具体的に何をすればいいの?」

「何でもいいと言いたいところだけど、少なくともミサンガよりは有利的な証拠が欲しいかな。誰でもじゃなくて、先輩でしかない証拠」

「それって難しくない?」

「私も協力するから」


とは言ってもなぁ……。

雲を掴むような話に天井を仰ぎ、ハッとした。

そうだ、もし先輩の身辺を探って何も出てこなければ、先輩の潔白を証明できるはず。疑っているからと言って調べるわけじゃない。

そうだよね。

1度は向き合いたいと思った人だもん、信じたいよ。


「分かった、やってみる」

「ほんと? ありがとう」


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