あしたの星を待っている
普通じゃない、は、言い過ぎだ。
慌てて訂正しようとしたけど、七海の顔は険しくなり、カッと目を見開いたまま、机をバン――と強く叩いた。
騒がしかった教室が一瞬で静かになる。
「最低、そんなやつだとは思わなかった」
「七海、」
「あんたみたいなのが彼女で先輩が可哀想。調子乗り過ぎだよね、清純ぶるのも大概にしてほしいわ」
な、なみ……?
どうして、七海がそこまで怒るの?
真っすぐに向いた目に、何も言い返せず。ただ、七海から発しられる強い敵意に圧倒される。しばらくそのまま固まっていると、不意に後ろから声を掛けられた。
「どうした、担任が来るぞ」
「瑠偉くん……」
「北野も、座った方がいいんじゃね?」
「分かってる」
瑠偉くんの言葉に頷いた七海は、自分の席についた。
それと同じくらいのタイミングで教室のドアが開き、「おーい、宿題集めるぞー」と担任の先生がニンマリしながら入ってきた。
先生のゆるっとしたキャラクターで、ピりついた教室の空気が和む。
だけど、私は全身が椅子に沈んでしまうような重さに覆われていた。
七海に言われた言葉の1つ1つが、胸に刺さっている。
私が悪いの? 無神経だった? どして七海があそこまで怒ったのか分からないけど、正義感の強い彼女だけに思うところがあったのだろう。
でも、七海には私の考えとか感情とか、聞いて欲しかったよ。
とにかく、あとでちゃんと話さなきゃ――。