あしたの星を待っている


「それでね、瑠偉くんに謝らなくちゃいけないことも思い出して」

「俺に?」

「入院してた時、酷いこと言ってごめんね」


瑠偉くんは、目をパチクリとする。

やがて思い出したのか、「バァカ」と少し怒ったような声を出した。


「謝るのは俺の方だ。花菜が1番辛い時、頼りになれなくてごめん」

「そんなことないよ、お見舞いの花とか届けてくれたよね」


お母さん経由だったけど。

瑠偉くんからよ、って渡される花やぬいぐるみに、毎度癒されていたもん。


「あー、でも写真はなかったな」

「……」

「私、瑠偉くんの写真を見たらすぐ元気になれたのに」

「……花菜、ごめん」


不意に、苦しそうに顔を歪めた瑠偉は、俺、と言ったまま下唇を嚙んだ。

どうしたのだろう? 

何か言いたいけど、言えない。

そんな感じ。

私、また余計なことを言ってしまったのかな? 


「瑠偉くん、」

「ごめん……俺、俺のせいで、」


瑠偉くんのせいって、何が?

そういや、前もそんなことを言っていたような?

放課後の教室は静かで、お互いが少し動くだけで、その音が大きく聞こえる。

胸の音も、息遣いでさえも大きく、大きく。

凭れていた机から離れ、私と目線が合うように屈んだ瑠偉くんは、長い睫毛を1度伏せてから口を開いた――――と、


「何してんの?」



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