あしたの星を待っている
足にミサンガがあるかどうか確かめるなんて簡単だと思うかもしれないけど、ベタベタな関係じゃないだけになかなか難しい。
いきなりズボンの裾を捲って見るのも不自然だし、学年が違うから体育の時に覗くのもできず、部活も引退したから短パンになることがまずない。
何だか最近、考えることがたくさん。
先輩のこともそうだし、七海のことも。
それに瑠偉くんも。
どうして私の写真を生徒手帳に入れていたの?
ごめんって言ったのは、どういう意味?
「この人……」
「え?」
「イケメン」
「もうー、まじめにやって」
私と黒沢さんは放課後の時間を使って、図書室で調べ物をしていた。
主には卒業生のアルバムや、在校生の遠足などのイベントで撮影された写真など、なんでもいいから手掛かりになりそうなものを……と思ったけれど、それこそ雲を掴むような作業だ。
こんなことより、友人、知人を当たって聞き込みをした方が早いかもしれない。
例えば、そうだなぁ……先輩の地元の友達とか。
「あっ!」
「何、急に大きな声出さないでよ」
しーっと唇に指を当てた黒沢さんの声も大きくて、先生に睨まれた。
「行こ」
「え、どこに?」
「重大な手掛かりを思い出したの」
そう、そうなの、なんで忘れていたんだろう。
合宿の時に、先輩と話していた瀬戸高の1年生。
彼なら何か知っているかもしれない。
黒沢さんと私はその足で瀬戸高に向かうことにした。
昇降口で靴を履き替えて、校門ほ方へ歩いていると、黒沢さんが聞き辛そうに「部活はいいの?」と体育館を指さした。
「うん、しばらく休むことにした」
「それって、北野さんと顔を合わせづらいから?」
「それもあるけど、今は部活よりこっちを優先したいなって。モヤモヤしてること、全部片づけてから自分の気持ちに向き合いたくて」
「ふーん、そっか」