あしたの星を待っている
まぁ、よく分からないけど頑張れ。
って、相変わらず黒沢さんはクールだなぁ。
とっつきにくくて冗談とか通じなくて冷めているところがあるけど、根は優しい人なんだってこと段々分かってきた。
嘘もお世辞も言わない彼女だからこそ、頑張れの言葉は嬉しい。
「で、その瀬戸高の1年って名前は?」
「それが知らないの」
「は?」
「でも、顔は覚えているし、バスケ部だから体育館に行けば会えると思うんだよね」
「夕里さんってさー、見かけに寄らず無鉄砲だよね」
瀬戸高までは駅で1つ分、山手にあがる。
緑が多くて坂がきつくて、何も学校まで行かなくても駅で待ち伏せすればよかったんじゃない? そんな話をしている間に校門についた。
他校とあって、なかなか周りの視線が気になる。
でも、せっかくここまで来たんだしさ、と黒沢さんの腕を掴んで体育館らしき建物があるところまで突き進んだ。
確かに私、無鉄砲かもしれない。
いや、猪突猛進?
「顔は分かるんだよね」
「うん、えっと、いないなぁ」
「ここまで来てそれはやめてよ」
だけど、ちょっと向こう見ずだったかもしれない。
体育館の下の部分にある風通しの窓から中を覗いていた私たちは夢中になるあまり、後ろに人が立っていることに気が付かなかった。