あしたの星を待っている
「こんなところで何やってんの」
「「うわぁー……」」
見事、ハモる。
驚いて尻もちをついてしまった私は、黒沢さんに起こしてもらいながら、こんなことになってしまった原因である人に目をやった。
そして、また叫ぶ。
「こ、この人!」
「は? 何? てか、あんたどっかで見たことあるんだけど」
「黒沢さん、この人だよ」
「分かったから落ちつこうね」
宥められて初めて、自分が興奮状態であることに気が付いた。
わけが分かんないといった様子で首を捻っていた瀬戸高の1年男子が、そんな私の顔をじっと見てパチンと手を鳴らした。
「あー、思い出した。あんた葉山さんの彼女でしょ」
「そう、です」
「えー何? 俺に会いにきたの? もしかして、あの人じゃなくて俺に惚れちゃったとか?」
瀬戸高の1年男子は、ニヤッと笑う。
そうだ、あの時もこんな風に含みのある笑い方をして、先輩に絡んでいたっけ。
「あなたに聞きたいことがあってきました」
「えー、何だろ。ことによっては報酬をお願いしちゃおうかな」
「葉山先輩の昔を教えてください」
「昔って、例えば女関係? つーか、あんた合宿の時、俺と葉山さんが喋ってるの聞いてたよね? つまんない嫉妬なら聞かない方が身のためだよ」
この人、気づいていたんだ。
「嫉妬じゃない、です」