あしたの星を待っている


「こんなところで何やってんの」

「「うわぁー……」」


見事、ハモる。

驚いて尻もちをついてしまった私は、黒沢さんに起こしてもらいながら、こんなことになってしまった原因である人に目をやった。

そして、また叫ぶ。


「こ、この人!」

「は? 何? てか、あんたどっかで見たことあるんだけど」

「黒沢さん、この人だよ」

「分かったから落ちつこうね」


宥められて初めて、自分が興奮状態であることに気が付いた。

わけが分かんないといった様子で首を捻っていた瀬戸高の1年男子が、そんな私の顔をじっと見てパチンと手を鳴らした。


「あー、思い出した。あんた葉山さんの彼女でしょ」

「そう、です」

「えー何? 俺に会いにきたの? もしかして、あの人じゃなくて俺に惚れちゃったとか?」


瀬戸高の1年男子は、ニヤッと笑う。

そうだ、あの時もこんな風に含みのある笑い方をして、先輩に絡んでいたっけ。


「あなたに聞きたいことがあってきました」

「えー、何だろ。ことによっては報酬をお願いしちゃおうかな」

「葉山先輩の昔を教えてください」

「昔って、例えば女関係? つーか、あんた合宿の時、俺と葉山さんが喋ってるの聞いてたよね? つまんない嫉妬なら聞かない方が身のためだよ」


この人、気づいていたんだ。


「嫉妬じゃない、です」





< 127 / 171 >

この作品をシェア

pagetop