あしたの星を待っている


ガタン――。

母屋の方で何か物音がした。急がないと。

ファイルを開けて、それらしきものを探す。消されていない事を祈りながら、マウスを操作していくつかめでヒットした。

目を背けたくなる動画。

ご丁寧にひとまとめにしてあるデータを、そのままUSBに流し込む。

先輩はこれらの動画を撮影しながら、どんな気持ちでいたのだろう?

快感? 満足?

虚しくなったりしなかったのかな。


ガタン――。

また音がした。

焦る気持ちを抑え、念のため取りこぼしの動画がないかファイルを探っていると、写真も出てきた。極々ありふれた集合写真。

これが中津くんの言っていた地元のグループなのだろう。

黒沢さんのお兄さんもいるのかな?

顔は知らないけど彼女と似ている人がいるなら……そう目を凝らして見ていると、先輩や中津くんの他に、私の知っている人物が映っていた。


「どうして、ここに?」


――と、その時。

目の前がふわりと揺れたような気がした。

なんだこれ、と思っている間にも、どんどん視界がぼやけていく。

体が鉛のように重たい。吐き気もする。

身の危険を感じた私は、とにかく1度外に出ようと部屋のドアを開けた。

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