あしたの星を待っている
「あれ? 花菜どうしたの?」
ところが、ドアの向こうに先輩がいた。
ドアノブにぶら下がるようにして立っている私を見て、彼は驚いたような声を出す。気分が悪いならベッドで横になってもいいよ、って。
包み込むように私を抱きしめる。
せっかく証拠を見つけたのに、これじゃ逃げれない。
「わた、わたし、」
きもちわるい……。
そうだ、トイレ。とりあえずトイレにいかせて貰おう。
そう顔をあげたとき、先輩の背後にある部屋のドアが開いており、そこがキッチンであることに気付いた。冷蔵庫や食器棚のようなものも見える。
それなら、どうしてさっき母屋に?
「そう、か……さっきのジュース」
「気が付いた? 量の調節が難しくて効くまでに時間がかかっちゃったね」
くすくす笑う声が、耳元で聞こえる。
離れにもキッチンがあるのに、わざわざ母屋まで行って飲み物を取ってきたのは、私に見られることなく、ジュースに薬を混入するためだったんだ。
あれ、でも先輩も確か飲んで……。
「いつも飲んでる睡眠薬だから耐性が付いちゃって効かないんだよ」
「どうして、こんなこと」
「分からない?」