あしたの星を待っている
「……は、な、はな」
ん、誰かに名前を呼ばれてる?
「はな、おい、花菜」
温かみがあって落ち着く声、耳にすっと馴染んで心地良い。
ずっと聞いていたいなー。
そう思っていたところ、ペチッとおでこを叩かれた。
「痛っ」
「ばか、いつまで寝る気だ」
「瑠偉くん?」
「ほんと、バカ! 心配かけやがって、バカ! 何やってんだよ、バカ! 無茶するなよ、ばかやろう」
うう、そんなにバカバカ言わなくても……。
「まぁまぁ、その辺にしてやりなよ。無事でよかったじゃん」
「バカにバカって言って何が悪い?」
「ほんとね。冷や冷やしたわよ。ったく馬鹿なんだから」
容赦ないなぁ。
浴びせられる叱責に縮こまりながら周りを見渡すと、私を囲むようにして瑠偉くん、黒沢さん、中津くんが立っていて、看護師さんらしき人が忙しそうに動いている。
白いベッド、パーテーション、点滴台。
どうやら私は病院にいるらしい。
「あの、みんなが助けに来てくれたんだよね?」
薄っすら覚えている。
葉山先輩に口を押えられ、もうだめかと思った時、窓ガラスが割れて3人が入ってきてくれた。そしてギリギリの精神だった私は、瑠偉くんの顔を見て気が抜けたんだ。