あしたの星を待っている
不意に、瑠偉くんに抱きしめられた。
それはシーツ越しで、ベッドに腰かけた状態で、上半身だけだったけど、ぎゅっと強く体を引き寄せれて心臓がどきりと音を立てた。
びっくりしたけど、嫌じゃない。
むしろ、安心する匂い、温度、強さ。
いや、でも、黒沢さんの前でいいの!?
「なんで、お前そんなんなの」
「瑠偉くん……?」
「辛い思いいっぱいして傷つけられて、怖い思いもしたのに、なんでそこまで頑張れるんだよ。平気な顔して笑ってられるんだよ。俺なんかなんにもしてやれなくて、」
瑠偉くんの声は次第に小さくなる。
背中に腕を回し軽く叩くと、彼はハッとしたように私から離れた。
「何にもじゃないよ、いっぱい助けられたよ」
辛いのは自分だけじゃない、傷ついたのも自分だけじゃない。
心配してくれる瑠偉くんや、同じように苦しんでいる黒沢さんがいたから立ち向かおうと思ったし、中津くんが色々教えてくれたから乗り越えられた。
2年前の殻に閉じこもっていた私とは、もう違う。
声をあげる勇気を持てた。
それは、本当にみんなのおかげ。
「そういや、花菜は昔から強かったな」
「え?」
「怖がりのくせに、いざっていう時は強くて、俺の方がいつもビビってた気がする」
「そんなことないよ!」
「いや、そうだよ、あの時も……」