あしたの星を待っている


今のは参った。本格的に照れてしまった。

熱くなった顔を見られないように俯いていると、後ろからパタパタと走る足音が聞こえ、続いて「お待たせ!」という七海の声がした。

振り向いた私に、おやっという顔。


「お邪魔でしたかね、私」

「ぜ、全然! ね、先輩」


どうしよう、恥ずかしい。

思いのほか大きく出た声が上ずって、変な汗が背中を伝う。私の動揺は簡単に隠せるものではなく、またそういった事に関するアンテナが人一倍張っている七海が見落とすわけがない。

案の定、七海はニヤリと笑って、


「先輩、今日、私用事があるので、花菜と一緒に帰ってください」

「ちょっと七海!」

「俺はいいけど、花菜はどう?」


”花菜”だってー。

声が聞こえなくても、心の中で囃し立てているのが分かる。

さっき七海が言っていた、余裕なんてある? とは、こういうことだったのか。


「お願いします……」

「じゃぁ、部活のあとで待ってる。あ、それから俺も夏合宿参加する予定だから、よろしく」

「え、先輩引退しないんですか?」

「うん。本来3年は参加しないんだけど、今年の合宿は男女合同だろ。練習試合に他校生も来るっていうし、可愛い彼女が他の男にちょっかい出されないよう見張っておこうと思って」


先輩って、本当に積極的な人だ。

これには、さすがの七海も当てられたとばかりに笑い、私の横腹を突いた。




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