あしたの星を待っている
七海とは、以前に増してざっくばらんと付き合えるようになった。
お互い完全にわがかまりが消えたわけじゃないけど、これからまた新しい関係を築いていけたらな、と思っている。
そして、新たな関係といえば、こちらも。
「花菜、おつかれ」
「瑠偉くん、待っててくれたの?」
「うん、ちょっと見て欲しいものがあって」
「なに? なに?」
どことなくソワソワしている瑠偉くんに近寄ると、壁に凭れた彼の小脇に雑誌が挟まれていることに気が付いた。
もしかして!
「グランプリ、獲れたの!?」
「うん」
「え! ほんとにほんと!? すごい、おめでとう!!」
瑠偉くんが持っている雑誌はフォトステで、彼はコンテストに応募していたのだ。
作品は、あのススキ畑だった場所から撮った黄昏の街。
彼が写真を再び始めるきっかけになった記念の1枚だ。
本当にすごいよ、まさか、いきなりグランプリを取っちゃうなんて。
だけど、浮かれる私とは反対に瑠偉くんは、心ここにあらずといった感じで様子がおかしい。
どうしたの、と尋ねると、彼は意を決したように雑誌を開いた。
「これなんだけど」
「ん? あっ、講評?」