あしたの星を待っている
専業主婦のうちのお母さんとは違い、瑠偉くんのお母さんはフルタイムで働くキャリアウーマンで、いつも慌ただしそうにしている。
家でのんびりネイルを塗ったり、髪の毛を念入りに巻いたりする時間なんてきっと無くて1日があっと言う間に過ぎる生活をもう何年もしているのだろう。
それでも、瑠偉くんのお母さんはいつもキラキラしていて、小さい頃から私の憧れだった。
「英子さんによろしく伝えておいてね。お礼に今度、お土産買ってくるわね」
「そんな! いいですよ、それはお母さんの自己満足なんで」
「自己満足でも人を喜ばせられるなら良いことでしょ? 結構、楽しみにしているんだから。疲れたあと甘いものを食べたいなぁ~って思うタイミングでいつもくれるの」
そうなんだ……。
お母さんのハンドメイドやお菓子作りは、SNSに載せたいがためにしていることだと思っていたけど、こうして楽しみにしてくれる人もいるのか。
暇な主婦だなって思ってて、悪かったかな。
「最近、瑠偉とは、どう?」
「あっ、えっと」
不意に瑠偉くんの名前を出せれて、少し困った。
子供の頃は毎日のように一緒にいたのに、今は遊ぶどころか会話もしない。
それって、いつからだったかな。
「まぁお互い思春期だし、しょうがないか。そのくらいの歳って異性と話すのが照れくさくなるもんね」
「ですね、はは」
「でも、たまには声かけてやってね。ああ見えてあの子、寂しがり屋だから」