あしたの星を待っている
「お茶、もう1杯いれるね」
コップを受け取る瞬間、少し指が触れた。
こんなに大きな手だったっけ?
手だけじゃなく、肩幅も、腕の太さも、昔とは全然違う。声も低い。
瑠偉くんはどちらかというと女の子っぽい顔立ちで、小さい頃は体も小さかったせいもあって、私の方がよく男の子だと間違えられた。
髪は薄茶色で少し癖があって、中学生になったばかりの頃は頭髪検査で引っかかるたびに、「天然ものです」と証言してあげたっけ。
いつの間に、こんなに男っぽくなったんだろう。
傍にいてあげたいと思った頃の瑠偉くんと、今の瑠偉くんは……。
「――お前さ、バスケ部の先輩と付き合ってるって本当?」
「え」
不意にそんなことを聞くから、コップを落としてしまいそうになった。
瑠偉くんの方を向くと、薄茶色の瞳と目が合う。まともに目が合うのは随分と久しぶり。なのに少しも嬉しくないのは、質問のせいかな。
「付き合ってるよ」
「へぇ」
「何?」
「いや、物好きだなって思って」
「それってどういう意味?」
「言葉の通りだけど」