あしたの星を待っている
*
「花菜! おはよう」
「おはよう……ねぇ、何か、ざわついてない?」
朝、教室に入ると明らかにいつもと違う雰囲気だった。
抜き打ちのテスト? って感じでもないし、特別な授業があるってわけでもなさそうだ。不思議に思っていると、真紀子ちゃんと仲良しのあずちんが「転校生が来るらしいよ」と教えてくれた。
「この時期に転校生?」
「そ、珍しいよね」
「どうせなら2学期からにすればいいのにね」
うんうん、と真紀子ちゃんと七海が頷く。
1学期の期末テストも終わり、夏休みまであと少しといったところ。
時期もそうだし、高校生で転校するってあまり聞かないから、よほどの事情があるんだろう。そんな勘繰りも相まっての、ざわつきらしい。
「どんな子かな?」
「私、イケメン希望ー」
「女の子って聞いたけど」
さすが、あずちんは情報通だ。
七海と真紀子ちゃんの希望をあっさり否定し「残念」と笑ったまさにその時、噂の転校生が担任の先生と一緒に教室に入って来た。
「ほらー席付けー。お待ちかねの転校生だ」
たぶん、先生はここでみんながどっと笑うと思ったらしい。
静まり返った教室を見渡して、えっ、という顔をする。
だけど、私たちはハッとしながら、男子なんかはあんぐり口を開けながら、しばらく放心していた。
その転校生があまりに綺麗な子だったから。