あしたの星を待っている
そう、勘違いに決まっている。
葉山先輩とは、バスケ部のエースでありながらチームのまとめ役の部長もこなし、生徒会の役員にも選ばれている、まさに文武両道。
その上、甘いルックスと誰にも優しく接する姿は王子様のようだと言われている。
そんな女子生徒の憧れの的が、私なんかを好きになるわけないじゃない。
と思っていたのだけど――。
「俺と付き合ってくれないかな」
「え?」
そのまさかの事態が起きたのは、試合が明日に迫った夕練の後だった。
ちょうど体育倉庫で片付けをしていたところに、先輩がバスケットボールを戻しに来て2人っきりになったタイミングだった。
「いきなりごめん、でもずっと好きだったんだ」
「あの、どうして私なんか」
「”私なんか”じゃないよ。夕里(ゆうざと)花菜さんがいいんだ。いつも、一生懸命練習してる姿がいいなって思ってた」
「あ、ありがとう……ございます。でも、」
「明日の試合、夕里さんのために勝つから。そしたら前向きに考えて欲しい」
「や、でも、あの」
「じゃ、そういうことで!」
あぁ、行っちゃった。どうしよう。
先輩の顔、真っ赤だった。きっと私の顔も赤い。まさか本当に私のことを好きだったなんてびっくりだけど、気持ちは嬉しい。
でも、私は――。