あしたの星を待っている
「黒沢さん、次は移動教室だから一緒に行こう」
「家庭科だよね?」
「うん、そうだよ。家庭科室は第2校舎にあってね、」
「さっき構内の地図を貰ったから知ってる。1人で行けるし気を遣わなくていいよ」
「え? ちょっと、ま……」
待って、という前に黒沢は席を立ち、後ろのドアから廊下に出て行ってしまった。
余計なお世話だったのかな、それとも何か気に障ることしちゃった?
呆気にとられポカンとしていると、
「何あれ、感じ悪いー」
七海が、傍にやってきた。
その後ろに真紀子ちゃんとあずちんもいる。
「せっかく花菜が親切にしてやってんのにね」
「余計だったみたいだね。1人で行動したい派なのかな」
「だからってあの言い方はないでしょー」
ありゃりゃ、こっちはかなりのご立腹だ。
礼儀知らずな態度をとる人が大っ嫌いな七海は、まるで自分のことのように腹を立て頬を膨らませている。
そんな七海を宥めるように彼女の背中をさすっていたあずちんが、
「ちょっと聞いた話なんだけど」と、右手を猫の手のように曲げてちょいちょいと私たちを傍に寄せた。
「黒沢さんって、聖ウィステリア女子から来たんだって」
「え! あそこって超お嬢様校だよね!?」
大声を出した真紀子ちゃんに、しーっ!と、3人揃う。