あしたの星を待っている
*
「告白された!?」
「声大きいってば、七海!」
「先輩、まさかのマジで花菜のこと好きだったんだね! おめでとう」
まさかのマジで、ってことは、やっぱり面白半分で言っていたのか。
昇降口で待っていてくれた七海にさっきの出来事を話すと、彼女は嬉しそうに手を叩きながらくるりとその場で回った。
ふわりと甘い匂いがする。
「まだ、おめでとうじゃないよ。どうするか決めてない」
「えー! どうして? あの葉山先輩だよ? 断る理由ないでしょ!」
「そうは言っても、私は先輩のこと好きってわけじゃないし」
「花菜~、まだ例のトラウマ引きずっているの?」
「……うん」
「ねぇ、気持ちは分かるけど、いつまでもそんなんじゃ一生彼氏できないよ? 大丈夫だって、先輩すっごく優しいし、上手くリードしてくれるって。花菜の男性恐怖症も治してくれるよ! それにさ、」
「それに?」
「花菜が充実した高校生活を送っている方が、お母さんだって安心するんじゃない?」
確かにそうかもしれないけどさ、と唇を尖らす。
すると、七海は手で私の両頬を挟んで「タコちゃん」と笑った。