あしたの星を待っている
03.言えない気持ちと、合宿
「それは考え過ぎじゃない?」
だよねぇ、と朗らかな笑い声が続き、持っていた鏡を落としそうになる。
合宿初日の夜、学年ごとに割り当てられた部屋で髪を梳いていた私は、友人の返答に拍子抜けしながら身だしなみもそこそこに布団の上へ転がった。
2年生は私と七海の他に、3人。
みきちゃん、まこちゃん、ななちゃんだ。
「黒沢さんだっけ? あの子、うちのクラスの伊野くんともよく一緒にいるよ」
「この前は大木と帰ってたよね」
「あれじゃん、矢吹くんに限らず、学年で人気のある子なら誰でもいいって感じ。バイトが一緒なのは単に紹介してもらったとかじゃない?」
なるほど、そういう考え方もあるな。
今、名前がでた伊野くんと大木くんってのは、瑠偉くんがつるんでる蒔田くんと仲が良いと聞く。
仲間内でバイトを紹介するって普通だと思うし、他にも仲良くしている子がいるなら、瑠偉くんだけ特別ってこともないだろう。
たしかに考え過ぎだったね。
そう七海の方に視線をやると、彼女もホッとしたような笑みを浮かべていた。
「バイトとか憧れるよねー」
うーん、と伸びをしたまこちゃんが溜息交じりに言う。
「やりたいけど、部活してたら無理だもんね」
そうそう! と、ななちゃん。
「出会いが無さすぎなんだよ。合宿って言っても学校だし」
「普段と変わり映えしないよね。瀬戸高が来るのっていつだっけ」
「最終日じゃなかったかな」