あしたの星を待っている
*
「花菜~、大丈夫?」
「なんとか」
合宿最終日の朝、熱を出してしまった。
たぶん疲れとか精神的なものが原因で、そのまま家に帰ることも打診されたけど、あと1日だけだからと残ることにした。
それに今日は瀬戸高との練習試合がある。
Bチームの私は補欠ですらないけど、スタメンに選ばれた七海の応援をしたいと頑として譲らなかった。
こういう時だけ頑固だよね、と呆れられたように七海が笑う。
「無理しないで、座ってなよ」
「分かってるって。それより七海、頑張ってね」
「任せて、ダンク決めるから」
「あはは、期待してる」
ウオーミングアップを始めた七海を目で追っていると、わぁと歓声があがった。
隣のコートで葉山先輩がダンクシュートを決めたらしい。
ゴールリングにぶら下がって爽やかに笑う先輩は、体をぐるりと捻ってこちらにピースサインをする。
今日は審判を任されている彼だけど、ボールに触ると体がうずくのだろう。
目立たないでくださいよー、と後輩から苦情を受けて顔をくしゃくしゃにする先輩は、悪戯っ子のようで可愛い。
今朝、先輩からラインが届いていた。
そして呼び出された場所で会った彼は、開口一番、ごめんと頭を下げた。