あしたの星を待っている





「花菜~、大丈夫?」

「なんとか」


合宿最終日の朝、熱を出してしまった。

たぶん疲れとか精神的なものが原因で、そのまま家に帰ることも打診されたけど、あと1日だけだからと残ることにした。

それに今日は瀬戸高との練習試合がある。

Bチームの私は補欠ですらないけど、スタメンに選ばれた七海の応援をしたいと頑として譲らなかった。

こういう時だけ頑固だよね、と呆れられたように七海が笑う。


「無理しないで、座ってなよ」

「分かってるって。それより七海、頑張ってね」

「任せて、ダンク決めるから」

「あはは、期待してる」


ウオーミングアップを始めた七海を目で追っていると、わぁと歓声があがった。

隣のコートで葉山先輩がダンクシュートを決めたらしい。

ゴールリングにぶら下がって爽やかに笑う先輩は、体をぐるりと捻ってこちらにピースサインをする。

今日は審判を任されている彼だけど、ボールに触ると体がうずくのだろう。

目立たないでくださいよー、と後輩から苦情を受けて顔をくしゃくしゃにする先輩は、悪戯っ子のようで可愛い。




今朝、先輩からラインが届いていた。

そして呼び出された場所で会った彼は、開口一番、ごめんと頭を下げた。



< 55 / 171 >

この作品をシェア

pagetop