あしたの星を待っている


『昨日は俺が悪かった、ごめん』

『そんな私の方こそごめんなさい』

『違うんだ、花菜は悪くない。俺、本当ダメだよな。花菜の気持ちを考えずにあんな酷いことをして……。反省してる』

『先輩、顔をあげて』

『花菜のことが本当に好きなんだ。だから嫌わないでほしい』


胸がギュッと締め付けられる。


『先輩、私。お揃いのミサンガに願掛けしたんです。もっとずっと先輩といれますようにって』

『……ありがとう』


声を震わす先輩は、ちょっと涙目だった。

いつもは自信に満ち溢れていて何をしてても完璧な王子さまで、みんなの憧れなのに。

そんな彼でも迷ったり悩んだり、やり方を間違えて弱気になったりするんだ。

私と同じなんだね。

そう思うと、先輩が愛おしく思えた。



「はい、じゃぁそろそろ試合を始めます」

「七海、ファイトー!」


試合は僅差点が続く激戦だったけど、メンバーをチェンジしながらの辛勝だった。

叫び過ぎて喉が痛い。

熱のことなんかすっかり忘れて送った声援が届いたのか、七海は20ゴールを決める大活躍で、MVPにも選ばれた。

そんなわけで女子の方は大盛り上がりだったけれど、隣のコートの男子は終始険悪な雰囲気が立ち込めていた。

どうやら瀬戸高の方に、悪質なファールを繰り返す選手がいるらしい。


「いいかげんにしろよ!」


怒号が響き体育館の中は、水を打ったように静まり返った。

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